導入事例/中吉エンジニアリング株式会社様

機械設備エンジニアリング・商社

社内に置くAI環境の構築と型式推測システム「KATASHIKI AI」の開発

中吉エンジニアリング株式会社様

社内に置くAI環境の構築と型式推測システム「KATASHIKI AI」の開発
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導入事例概要

  • クライアント名: 中吉エンジニアリング株式会社様
  • 事業内容: 機械設備の調達・製作加工・電気制御・現地工事(広島市・1919年創業)
  • 導入システム: 型式推測システム「KATASHIKI AI」/総務チャットボット
  • 支援体制: 社内に置くAI環境の設計・設置から、システム開発と運用サポートまで一貫支援

創業から100年を超え、商社機能とエンジニアリング機能の両方を持つ中吉エンジニアリング株式会社様。「取引に関わる情報は社外のサービスに入力しない」というセキュリティ方針を守ったまま、AIを業務に取り入れる方法を一緒に設計しました。

課題

1. クラウドのAIサービスが、そもそも使えない

一般的なAI導入は「クラウドのサービスを契約し、業務のデータを入れる」ところから始まります。中吉エンジニアリング様の場合、この一歩目が塞がっていました。取引先や案件に関わる情報を社外のサービスへ入力しない方針があり、クラウド上に自社専用の環境を用意する形も対象外だったためです。

AIを諦めるか、方針を曲げるか——ではなく、方針を変えないままAIを動かせる置き場所をつくることが、このプロジェクトの出発点でした。

2. 型式の割り出しが、人の記憶に頼っていた

見積の依頼に並んでいるのは「品名」だけで、それがどの型式にあたるのかは書かれていません。担当者が過去の受注・発注をたどって突き合わせる作業になり、経験の長さがそのまま速さと精度の差になっていました。見積書はこれまで表計算ソフトで一件ずつ作られており、あとから引ける形のデータとしては残っていませんでした。

3. 総務への問い合わせが、その都度の個別対応だった

就業規則や社内手続きについての質問は総務に集まり、一件ずつ人が答えていました。似た質問が繰り返されても、答えが組織の中に積み上がっていく形にはなっていませんでした。

取り組み

扱う情報の性質に合わせて、AIの置き場所と対象範囲を分けました。取引に関わるデータを扱う型式推測は社内に置いた機械の中だけで完結させ、全社員が見てよい情報しか扱わない総務チャットボットは、社員が日常的に使えることを優先しています。

社内に置くAI環境

AI処理用のPCを選定・調達し、社内に設置しました。外部のネットワークから切り離した状態で大規模言語モデルを動かす構成で、入力したデータがこの機械の外へ出ることはありません。設置当日は現地で立ち上げまで行い、日々の起動・停止の手順書をお渡しして、社内の担当者だけで動かせる状態にしています。

型式推測システム「KATASHIKI AI」

見積依頼のファイルを読み込ませると、過去の受注・発注データから作った社内の対応表を検索し、品名から型式の候補を割り出して、結果の列を足したファイルとして返します。判断がつかない行は「分からない」と返す設計にし、人が確認すべき箇所がひと目で分かるようにしました。件数が多いファイルも順番に処理を進め、進み具合は画面で確認できます。

総務チャットボット

全社員が閲覧できる情報だけを対象に、就業規則などの問い合わせへ一次回答します。チャットボットで答えきれない質問は担当部署へ案内する切り分けを設計し、想定問答は運用しながら足していく前提にしました。現在は追加の第2弾までを反映し、使いながら育てられる形が整っています。

成果

社内完結

取引情報を外部サービスに出さない

2つの業務

型式の割り出しと総務への問い合わせ

育てる運用

想定問答を足しながら使い続ける

「クラウドのAIは使えない」という前提は、いまもそのままです。変わったのは、その前提のもとでもAIが日常業務の中で動いている、という事実のほうでした。

型式の割り出しは、担当者が記憶をたどる作業から、蓄積したデータを引く作業へ。総務への問い合わせは、まずチャットボットが受け、答えた内容が想定問答として残っていく形になりました。そして社内から「これもAIでできないか」という相談が出てくるようになっています。打ち合わせで話した内容を整理したい、手書きのメモを資料の形にしたい——現場が自分の仕事に引き寄せて考え始めたことが、いちばん大きな変化です。

セキュリティ方針が厳しい会社ほど、AI活用は「できない理由」から始まりがちです。私たちが引き受けたのは、その方針を守ったままAIの置き場所をつくり、そこで動くシステムまで届けることでした。クラウド前提では前に進めない現場にこそ、設計の余地があります。

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